美容外科に集まる期待

美容外科をよく知らない人は、たくさんおられます。いまだに「鼻筋をたてる」「二重瞼をつくる」「バストを大きくする」くらいのイメージしか無いらしいのですね。もちろんこれらは現在の美容外科でも重要な治療メニューのひとつではありますが、本当の美容外科はなかなかそれだけではないのです。もっとトータルに「本来あるべき自分に返る」とでも言うんでしょうか。その一環として、近年目覚ましい発展を見ることの出来る美容外科の「アンチエイジング治療」があります。

20世紀という時代はテクノロジーに対する、ある種宗教への信仰に近い思い入れがありました。医学、特に外科の分野などは「生命維持」を究極目標に据えて、どちらかといえば機械的な手術を行っていましたから、かなり大きな手術痕が残ることもままあったわけです。そうした手術痕や傷跡を本来の自然な状態に美しく修復することも、実は美容外科の重要な治療メニューだったことは、あまり知られてはいないのではないでしょうか。

こうしたアンチエイジング治療と、形成外科的治療が合体して美容外科の中に生かされるとき、まさに21世紀の新しい総合健康美容が立ち上がってきている、それが現代の美容外科だと思うのです。もちろんこれまでに培われてきた美容外科のメニューもそれぞれ健在であるばかりか、さらに安全で新しい先端技術をもってして、より精密で美しい仕上がりを実現していることは言うまでもありません。最近ではようやく、プチ整形の普及などで一般の美容外科に対する認識もあらたまり、健康活動の一環として、あるいはオシャレの延長として美容外科を捉えなおしている人も増えています。

なかでも美容外科が行うアンチエイジング治療は、実に絶大な信頼と期待を寄せられている分野です。日本人の平均寿命が際限なく伸び続けている一方で、社会の仕組みはなかなか高齢者のパラダイスを実現するのは難しそうです。そのような中、美容外科の行うアンチエイジング治療は、将来を見据えたひとつの有力なツールとして意味を持ち始めているのかもしれません。

美容外科がいま取り組んでいるのは、これまでの「外側だけ」を対象とした治療ではなく、もっと根本から生命力を活性化させ、人間の自己治癒能力を伸ばし「ほんとうの若返り」を実現することです。その一環として注目されているのが、幹細胞にスポットを当てた一連の研究です。そう遠くない将来、誰もが美容外科で気軽に若々しい肉体を手に入れる日がやってくるかもしれませんよ。