人は誰でも、より美しくなりたい、今の自分よりずっと優れた存在になりたい、あるいは永遠に若さを保ちたいという願いを抱いています。そのモチベーションを身体トレーニングや学術研究につぎ込むことで、レベルアップを果たしていく人たちも多くいます。しかし年齢とともにやってくる肉体と容貌の衰えは、すべての人類に等しく訪れるのです。だからこそ人には「変身願望」というものが存在するのでしょう。美容外科とは、そうした人類永遠の夢に対する解答のひとつなのではないでしょうか。
昔のＳＦ小説やミステリなどでは、美容外科をまるで変身の魔法か何かのようにあつかっていたものもありました。当時の読者たちは「そんなのあるわけない」と思っていたのでしょうね。でも現実はどうでしょう。現代の私たちが享受できる美容外科の技術ときたら、魔法どころのレベルではなく、まさに神のわざ、奇跡とも呼べる素晴らしい域にまで到達してしまっているのです。さすがのＳＦ作家たちも、ここまでは見通せなかったのではないでしょうか。
美容外科も含めた外科医療全般が、いかにして患者の肉体に負担をかけず、自然に、生来の形質をできるだけ壊さずに健康を維持していこうという方向に向かっていることはご存じと思います。美容外科の主流も当然ながら自然志向で、いかにしてナチュラルな美しさ、本人の個性と魅力をよりよい方向に伸ばそうというものに向かっているようです。しかもこの美容外科という分野はそれだけにとどまらず、さらに先を目指しているのです。
美容外科の精神は歴史的に見て、人間の持つ「完璧なる美」へのあこがれ、言い換えれば「神への崇敬」が根底にありました。そうした人々の願いが「永遠の若さと美貌」へのあこがれとして数々の美容術を生み出し、不老不死を求める医学と薬学へと発展していったというわけです。現代の美容外科は、まさにその最先端に位置していると言っても過言ではないでしょう。
美容外科の基礎には、ご存じかと思いますが外科の「形成外科」「整形外科」という分野の技術が存在します。これは事故や疾病、あるいは先天的形質異常によって身体の各部位が変形もしくは損傷された場合、これらを補修・整形・再構築することで、社会復帰を可能ならしめるための治療技術とその研究分野です。この形成外科・整形外科の蓄積ノウハウを基礎に、一歩進めて美容技術に生かして行こうというのが現代の美容外科なのです。したがって美容外科の内包するスキルというのは、実に緻密かつ奥深いものでもあります。